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ウジェーヌ・アジェ
Eugene Atget [1857-1927]

実際のところ、アジェの生い立ちや写真を撮った理由についてはよくわかっていません。いくつかの断片的な事実や逸話などからぼんやりとした輪郭が浮かび上がっているだけです。


1857年、ボルドー近くのLibourneで生まれたアジェは、若いころは水夫をしていましたが、その後、旅回りの役者に転じました。脇役ばかりで大きな成功は収められなかったために、画家をやってみたりしましたが、結局40歳のときに写真を始め、これがライフワークとなったのです。


一見すると、彼は典型的なコマーシャルフォトグラファーのように思われています。けっして革新的な写真ではなく、当時すたれつつあったテクニックで愚直なまでに丁寧に仕事をしました。晩年になると、そのテクニックは当時の流行から外れ、アナクロにさえ思われたはずです。


ムーヴメントを巻き起こしたわけでもなく、同調者もいませんでしたが、アジェの写真の純粋さ、強烈さに匹敵する写真家はほかにいないでしょう。


アジェの作品は2つの点でユニークです。ひとつは、20世紀初頭のパリの街、文化のすばらしいカタログを作り上げたこと。もうひとつは、現実を描写するドキュメンタリー性と、豊かな感受性による表現力を兼ね備えた写真家であるという点です。このため、一見するとシンプルで、地味に見える彼の写真は、実は非常に豊かで、ミステリアスであると同時に真実をしっかりと捉えているのです。


 
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